プロダクトサポートグループの藤田です。
今回は、5月14日から大阪ATCホールで3日間開催された「SIGN EXPO 2019」でコムネットのブースに展示していた、馬型の棚什器と、人が入れる飛行機模型の作り方を紹介したいと思います。

特に、データづくり・デザインをあまりやったことがないノンデザイナーの方でもできる作成方法なので、ぜひお試しください!

馬型の棚什器(シェルフ)

馬型の棚什器(シェルフ)

人が入れる模型飛行機

人が入れる飛行機模型

まずは、馬型の棚什器の作成方法のご紹介です。

1.デザインのリサーチ・データの購入

毎年SIGN EXPOに出展しているのですが、なんとか目立つ物を展示したいと考えておりました。

困ったときの「Pinterest」ということで早速検索!

このPinterest(ピンタレスト)は、世界中のデザインやインテリアなどを簡単に検索できるサイトです。

Pinterest(ピンタレスト)

検索ボックスで「Laser cut」と検索すると、たくさんのレーザーカッターで制作された事例が出てきます。
世界中の事例を見たい時は、日本語ではなくアルファベットで検索する方がより多くの事例を見ることができます。

Pinterest(ピンタレスト)で「Laser cut」と検索した時の画像一覧

Pinterest(ピンタレスト)で「Laser cut」と検索した時の画像一覧

今回は、他のレーザー加工サンプルも展示できる棚什器を作りたかったので、Laser cutに追加でShelf(棚)も入れて検索しました。

Pinterest(ピンタレスト)で「Laser cut shelf」と検索した時の画像一覧

Pinterest(ピンタレスト)で「Laser cut shelf」と検索した時の画像一覧

すると、レーザーカッターでカット加工された棚が多く表示されます。
気になった画像を選ぶと、次々に似たような種類の作品が表示されます。

その中でも気になったのがこちら↓

馬型の棚什器(Pinterest)

画像をクリックすると詳細が表示され、赤枠の部分がこの画像のリンク元になります。
今回は「etsy.com」になっていますが、「etsy.com」とは海外の大手通販サイトです。

Esty
ちゃんと日本語ページもあります。

また、青枠の部分に価格が表示されている場合は、表示価格(8ユーロ)で販売しているということです。
まとめると、こちらの画像は、「Esty(https://www.etsy.com/)」というサイトで、8ユーロで販売されているということが分かります。

8ユーロは、大体1,000円程度ですが、画像の棚が1,000円では、いくらなんでも安すぎます。
この棚を作成するための「データの価格」が8ユーロなんです。
実は、海外ではレーザー加工用のデータの販売も盛んなのです。

こんなデータは作れない私にとってはチャンス!!早速「Etsy」のサイトへ移動して、データを購入しました。

実際に購入した商品ページはこちら
馬型の棚制作用のデータ購入ページ(Estyのページ)

2.データの調整

購入後、ダウンロードしたデータは、レーザー用とCNCルーター用のデータ、組み立て説明書が入っています。
大きさや、材料厚によって8種類のデータが入っていました。

馬型の棚制作用のデータ一覧

ダウンロードしたデータはすべてで8種類ありました。

今回は、材料厚が9mmで大きい物が作りたかったので、250✕185✕62cmの12mm厚用のデータを9mm厚に調整して使用します。

12mm厚用のデータを9mm厚に変更するには、12mm×0.75=9mmなので、75%へ縮小して使用します。
これでも高さは1,300mm程度になります。

3.材料の購入

今MDFの4✕6板(1,850✕1,240mm)は、1枚につき4,000~5,000円程度で購入できます。3枚あれば足りるので、今回の材料原価は約15,000円になりました。

※MDFについてはこちらを参照ください。
中密度繊維板(Wikipedia)

4.レーザー加工機で材料の切り出し

加工を行うレーザー加工機は、SEIシリーズ Mercury609 1530(400W)です。
加工エリアは1500✕3000mmを誇り、30mm厚のアクリルがカット可能なハイスペックなレーザーです。

レーザー加工機 SEIシリーズ Mercury609 1530(400W)

パーツを材料に取り都合が良いように配置してレーザーカットします。

切り出すパーツを材料に取り都合が良いように配置します。 レーザー加工機 SEIシリーズ Mercury609 1530(400W)でMDFを切り出します。 レーザー加工機 SEIシリーズ Mercury609 1530(400W)でMDFを切り出します。

4×6板のMDF1枚のカットにかかる時間は、約10~15分程度でした。
材料の入れ替えなどを考えても、1時間あれば全てのパーツのカットが完了します。

全てのパーツを並べたのがこちら

MDFをレーザーで切り出して並べた馬型の棚什器のパーツ

5.組み立て

あとは説明書通りにはめ込んでいくだけです。

馬型の棚什器の説明書

少しキツめにはめ込めるようにデータを99%にして出力してあるので、接着なしでもしっかり組み立てることができます。
展示会場への搬送時に、組み立てた状態では運ぶのも大変なので、組み立て式はイベントなどに助かります。

馬型の棚什器を組み立てて完成

背中と首部分が棚になっていて、物を置くことができます。

「SIGN EXPO 2019」での会場での姿がこちら
一頭では寂しいので、ダンボールで仔馬も作成してあげました。
仔馬の原価はなんと200円です!

馬型の棚什器の「SIGN EXPO 2019」での姿 馬型の棚什器の「SIGN EXPO 2019」での姿

では、次に模型飛行機の製作手順のご紹介です。

1.デザインのリサーチ・データの購入

馬什器のデータを販売していたショップ「Esty」には、他にもたくさんのデータが販売されているので、引き続きリサーチしました。
その中で目に止まったのが、子供が入れる飛行機の模型です。

子供が入れる飛行機の模型(Pinterest)

「これの大人サイズを作りたい」と思い、展示会場でもお客様の目にとまるオブジェになると確信しました。

早速データを購入しました。こちらもデータの価格は、1,000円程度でした。
馬型の棚と同様、各サイズごとに複数のデータが入っていました。

子供が入れる飛行機の模型のデータ一覧

まずはダンボールを使用して、そのままのサイズでテスト加工してみました。
4歳児にはピッタリでした。

子供が入れる飛行機の模型をダンボールでテスト加工してみました。

2.材料の購入

大人サイズにするには、もう少し厚みがあって軽い素材が良かったので、こちらの発泡パネルを使用することにしました。

発泡パネル 発泡パネル(素板タイプ)

発泡パネルは、サイン業界でも広く使われている材料で、表面に紙が貼ってあるものなど、いろいろなタイプのパネルがありますね。
レーザーでカットする際に表面に紙が貼ってあると、紙と発泡部分で融点が違うので、焦げたり、カット断面が痩せたりします。
そこで、今回は何も貼っていない「素板パネル」を使用しました。
素板パネル(新星社さんのWEBカタログが開きます。)

3✕6板(910✕1,820mm)の7mm厚を使用しました。
1枚1,000円程度の板を4枚使用するので、材料費は4,000円程度です。

3.レーザー加工機で材料の切り出し

使用するレーザー加工機は、同じくSEIシリーズ Mercury609 1530(400W)です。

レーザー加工機 SEIシリーズ Mercury609 1530(400W)で発泡パネルを切り出します。

テストカットを繰り返し行い、焦げずに切れる出力値を探します。
上から順に調整していった結果、キレイに焦げずにカットできるようになりました。

発泡パネルのカット断面がきれいになるまで、レーザー加工機でテスト加工を繰り返します。

発泡パネルのカット加工のポイントは、

  • エアーを強く吹き付けること
  • できるだけ速い速度(スピード)でカットすること
  • レーザーの発射回数を少なくすること

要するに、どれだけレーザーの熱影響を減らしながらカットできるかが重要になってきます。
レーザーの発射回数は、周波数(PPI)の項目で変更が可能です。

これは熱に弱い(焦げやすい)素材に共通して言えることなので、覚えておいて損はないと思います。
条件が整ったら、あとは材料を切り出していきます。

レーザー加工機 SEIシリーズ Mercury609 1530(400W)で発泡パネルを切り出します。

1枚につき約5分で加工が終わりますので、材料の入れ替え作業を含めても、30分程度で加工が終了します。

パーツを全て切り出したものがこちら

発泡パネルをレーザー加工機で切り出した、人が入れる飛行機の模型のパーツ

4.組み立て

馬型の棚と同様に、あとは説明書に従って組み立てれば完成です。

人が入れる飛行機の模型の説明書

「SIGN EXPO 2019」での会場での姿がこちら

非常に軽いので持ち上げても楽々です。
弊社の営業メンバーが一番楽しそうに入っていましたね。

人が入れる模型飛行機 人が入れる飛行機の模型(コムネットの営業メンバー) 人が入れる飛行機の模型(コムネットの営業メンバー)

まとめ

以上、ノンデザイナーでも作成できるレーザーオブジェのご紹介でした。

レーザーがあれば、後仕上げやセットアップの時間も短縮できて、自由度の高い製品をつくることが可能です。
また、データが作れないという方でも。今は「データを買う」という方法があるので、ぜひ参考にしていただければと思います。

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