看板経営 vol.7(2020年2月号)にて、コムネット株式会社 内匠のコラムが掲載されました。
利益率アップにつながり、最も効果が期待できる業務改善のひとつ「見積原価を見える化する重要性」についてご紹介しています。
看板業界に見られる見積算出方法の特徴を踏まえた「見積原価の見える化」の考え方も掲載しています。

掲載内容

「利益率 UP」で全てが上手くいく
看板の見積原価の考え方
文/内匠 強志

前回までは、ITを使用した業務改善の手法について話してきました。
今回は、「見積原価を見える化する重要性」についてお話していきたいと思います。
私がこの連載で最も伝えたい内容で、かつ一番効果の高い業務改善だと考えている分野です。

私自身も「看板業界で使いやすい見積ソフトを作りたい」と思い、8年間にわたって開発に試行錯誤を繰り返してきました。
その結果積み上げられてきた、「見積・利益の考え方」について、お話しできればと思います。

サイン業界の見積作成はとても複雑で、大変です。
主な理由は以下の3点。
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◉完全受注生産の一点ものばかりで、その都度の試算が必須
◉多種多様な材料や製造工程によって、複雑な計算がいる
◉短納期のため、見積算出にあまり時間をかけれない
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このような条件下のため、昔からサイン業界では、感覚と経験値からの算出……いわゆる「どんぶり勘定」が多く使用されています。
ただこの計算方法は長年の経験値と感性が要求されるベテランの高等技術です。
若い世代や経験値の少ない営業では非常にリスクが高く、個人によって大きな差異も発生します。

ですので、サイン業界の見積計算を誰でも標準的にできるような仕組みを考えていきましょう。
基礎的な話になりますが、「利益」とは下記のような式で表せられると思います。

◎利益を表す計算式
【見積価格】 - 【原価】 = 【利益】

重要なのが「原価」の算出です。
このルールさえ決まれば、あとの計算は簡単なはずです。
まず原価の基本である3項目を説明していきます。
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①【材料費】
直接使用する材料代金のほか、外注費なども含む
②【労務費】
製造現場・工場など、現場で働く人にかかる費用
③【諸経費】
上記以外の直接経費や現場管理費、交通費など
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以上3項目の費用を積算した結果が「原価」になります。
「材料費」と「諸経費」は、当然のように原価算出して見積計算している方がほとんどなのではないでしょうか。

一方で、「労務費」を原価に考えていない方が多いように思います。
働き手不足が叫ばれ、働き方改革が推進されている昨今、深夜残業が当たり前だった一昔前と異なり、職人一人ひとりの労働時間が限定される時代となりました。
明確な労働時間を算出し、仕事に携わる「労務費」を明確にした上での「利益」がより一層重要になると考えています。

そこで私は、社内で「時間当たりの単価/人」を算出して原価に加え、いわゆる「見積原価」を作成するのを推奨しています。
こうすると、今まで見えなかった、「本当の利益」が見えてくると思います。
ここで重要なのは、社内で定められた原価ルールに当てはめるという点です。
個人の考えでの原価計算ではないところに意味があります。
同じルールで「原価」が決まれば、「利益」に信憑性が出るからです。

「見積原価の見える化」において、もうひとつ大切な点があります。
それは「完璧な数値を求めない」というところです。
あくまでも見積原価は予定ですので、実際には合わないケースが当然発生します。
また完璧を求め過ぎると、計算に多くの時間が取られてしまいます。営業への負担になり過ぎない程度に留めておきましょう。

さて、見積原価を算出すると、おのずと浮き彫りになる項目があると思います。
それが、「利益率」です。
これについては、例えば 20%を割らないように営業努力をするなど、社内で最低ラインを決めておくのをおすすめします。
数字が明確になれば、「利益率」アップへの意識が高まり、社内のモチベーションも向上するでしょう。

「利益率が15%の仕事」と「30%の仕事」で同じ利益を得るには、前者の場合2回分の仕事をする必要があります。
労務時間も2倍かかり、その分社員への負担にもつながってしまいます。
割の合わない仕事は見積時に見極めて、価格交渉、または断る勇気も必要だと思います。

利益の「見える化」ができると、必然的に「利益率」は上がると私は確信しています。
今までもそのような事例はたくさん目にしてきました。
利益が上がると会社全体に余裕ができ、さまざまなプラスの連鎖が起こると思います。
たくさんの看板屋さんで利益を上がれば、単価も上がり、業界全体にプラスの流れが起こるでしょう。
そうして、皆がHAPPYになればいいなぁ……と、真剣に考えています。

ぜひとも、「見積原価の見える化」に挑戦してみてはいかがでしょうか。
次回は、実際に働く職人にとって嬉しい「製造現場の IT 化」についてお話ししていく予定です。

看板経営 vol.7(2020年2月号) 22・23ページ「IT×SIGN」より引用
看板経営 vol.7(2020年2月号)にて、コムネット株式会社 内匠のコラムが掲載 看板経営 vol.7(2020年2月号)
掲載物:看板経営 vol.7(2020年2月号)
発行日:2020年2月1日(土)
発行元:株式会社 STRIXs

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